サンタがやってきた (161224)

親愛なるみなさん、おはようございます。今日もツイてます。

今日はクリスマスイブ。それぞれにお過ごしの事と思います。
「サンタがやってきた」毛涯章平(教育者 小・中の校長を歴任)
ふきのとうの餞別より

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私は毎年クリスマスが近づくと、懐かしく思い出すことがある。
それは、昭和27年、わたしが1年生を受け持っていた年の、ク
リスマスのことである。12月23日の午後であった。

美穂ちゃんが、泣きながらわたしのところへ来た。その後から、
おおぜいの友だちが、ぞろぞろとついて来た。美穂ちゃんは、泣
きじゃくりながら、「先生、サンタのおじさん、いるよねえ」す
ると後についてきた子たちが、「サンタクロースなんかいないよ」

「美穂ちゃん、まだ、いると思ってるんだよ」「美穂ちゃん、ま
だ赤ちゃんみたいだ」と、口々にはやしたてた。

彼女は、もう一度念をおすように訴えた。「サンタのおじさん、
いるよねえ」

わたしは、どう答えていいか一瞬とまどった。しかし、事が重大
であり、急を要するのである。そこでわたしは、こう答えた。

「先生はいると思ってきた。今も、いると思っているよ」美穂ち
ゃんは嬉しそうにこっくりした。他の子の中には、不服そうな顔
のものもいた。

その日の放課後、子どもたちを帰してから、私はいつもの文具店
に行った。そうして、2年生になったら使うことにしている、半
分が赤と青の色鉛筆と、20センチの定規と、それに封筒を40
人分買ってきた。

それからガリ版で「わたしは、あなたの心の中にいるのですよ。
サンタ」粗末な紙に、簡単なカットを添えたものであった。

それを、買ってきた文具と一緒に、封筒に入れ、翌24日の夜を
待った。その夜は、たいへん寒かった。

40通のサンタの便りを持って、11時ごろ、自転車で家を出た。
家内が出してくれた、赤い毛糸の襟巻で、ほおかむりをしても、
耳が痛いほど、戸外は凍みていた。

全市にひろがっている、子どもの家を、一軒一軒回って、戸日の
隙間に封筒をはさんで歩くのは、たいへんなことであった。途中
で年末警戒のお巡りさんにとがめられることもあった。わけを話
すと、不思議そうな様子で、「それは、ご苦労さまです」と言っ
てくれたりした。なかには、犬を飼っている家もあって、吠えら
れることもあった。こうして、わたしは子どもの家々を回り続け
た。

なんとしても、今夜はサンタが、あの子たちのところへ来なけれ
ばならないと考えたのである。一軒だけ、市街地からはずれにあ
る由紀子さんの家に、配り終えたときは、寒さもなにも忘れて、
熱いものがこみあげてきた。

帰りには、美々原の空が白み始めていた。翌朝の教室は、いつも
より騒々しかった。

「先生。ぼくんちにサンタが来た」「先生。ゆうべ、わたしの家
へ来たでしょう」「ありがとね。先生」などと言ってきた。そう
して、お母さんからの便りを差し出す子もあった。

それには、「今朝、玄関の戸を開けたとき、足もとに落ちた真っ
白な封筒を見ただけで、『先生だ』とわかりました」「封筒を開
いてみて、思わず、サンタの居られる学校の方を拝みました」

「このサンタの贈り物は、親子の思い出として、この子が成人す
るまで、しまっておきます」などと書かれていた。

美穂ちゃんの夢を壊したくないという、願いから発した、サンタ
の訪れを、親たちが心から喜んでくれていることを知って、わた
しは本当に嬉しかった。

あれから30年を経た今、昨夜のことのように思い出されるので
ある。
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子どもたちの夢を壊さないよう一途に行動する先生の姿に感動し
ますね。一足早いですがメリークリスマス。


 

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