腕を磨いて、時を待て (140224)

親愛なるみなさん、おはようございます。今日もツイてます。

「腕を磨いて、時を待て」大地康雄(俳優)『致知』2014年
3月号連載「20代をどう生きるか」より

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30歳の時、再びチャンスが訪れた。それは世間を震撼させた深
川通り魔殺人事件の実録ドラマ、殺人犯・川俣軍司役。

この主役がメジャーの俳優ではなかなか決まらず、最後のピンチ
ヒッターで私が呼ばれた。

なんと千野皓司監督が4年前の木下監督作品(自身デビュー作)
を見ていて、私が演じた犯人役をしっかりと覚えていたのである。

そのおかげで無名での主役デビューが決まった。これが高視聴率
を記録し、脚光を浴びた。

私の演技があまりにもリアルだったために、「本人を刑務所から
出して撮ったのか」という葉書まで寄せられるほどだった。

これでやっと俳優だけで飯が食える。当初はそう信じて疑わなか
ったのだが、そこから私は本当の人生の挫折を味わうことになる。

というのも、殺人鬼役のイメージが浸透し過ぎて、周囲から「大
地康雄は本当に危ないやつだ」というレッテルを貼られてしまっ
たのだ。

その後もたまに来るのは悪役のオファーばかり。アルバイト先で
も、飲みに行っても周りから避けられる。街を歩いていると、よ
く警察官から職務尋問を受けた。

ある時は、実際にあった殺人事件の犯人と間違われ、署に連行さ
れたこともあった。

頑張ってもダメなのか。この世界で生きるのは簡単じゃない・・。

一度実績を出し、顔も多少売れただけに、どん底に突き落とされ
た私の心はすっかり荒んでしまった。

そのような状態が3年ほど続いていたある日。ふと伊藤先生の教
えが甦ってきた。

「人間の弱さ、愚かさ、悲しさ、醜さを全部表現できるのが一流」

ああ、そうか。

俳優というのは順風満帆な人間を演じるより、挫折や裏切りとい
った辛い体験を演じることのほうが多い。だから、いま自分が直
面している体験をものにすれば、必ず将来に生かせるはず。これ
も俳優修業の一つだ。

伊藤先生の言葉の真意はそういうことではないかと気づかされた。

いつかまたチャンスが来るだろう。そう信じて、演技の勉強だけ
はやめずに続けていった。

捨てる神あれば拾う神ありというのはまさに至言だと思う。

ある日突然、前の事務所から「伊丹十三さんが会いたがっている」
と電話が掛かってきた。

当時、伊丹監督は『マルサの女』の制作中だったが、重要な役の
俳優が急遽参加できなくなり、ピンチヒッターを探していた。

その時、伊丹監督が「良い俳優はいないのか」とたまたまテレビ
をつけたところに、『深川通り魔殺人事件』が再放送されていた
のだ。

それをご覧になって、「彼をマルサ役に」ということになったの
である。

私はこんな神がかり的なことがあるのかと驚きを隠せなかったが、
結果としてこの『マルサの女』がきっかけで、俳優として一本立
ちすることができた。1987年、35歳の時だった。

(中略)

「腕を磨いて、時を待て」

これは売れなかった時期に伊藤先生からいただいた言葉である。

どんな人間にもチャンスは平等にやってくる。しかし、そのチャ
ンスを掴めるかどうかは、普段の努力次第。サボっている人間は
チャンスが来ても逃してしまう。

私にとって木下監督や千野監督、伊丹監督がそうであったように、
必死の努力は絶対どこかで誰かが見ているものである。
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がんばっている姿は誰かが見てくれています。努力を怠らず、手
を抜かず、今ここに一所懸命取り組んでいきましょう。


 

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